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2023/06/28

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【マッチレポート】6月24日第15節 FC大阪戦

求められる”新たなヒーロー”

 

J3界でも大きな話題となった8試合無敗。始まりがあれば終わりはある。前節・アスルクラロ沼津戦の敗戦で無敗記録に終止符が打たれた。
「自分たちのやりたいサッカーができないと、今日みたいな結果につながる」と沼津戦後に柳 雄太郎は試合を振り返り、FC大阪戦は大きな修正が求められる状況下で迎えた。

「勝ち点2を落としたゲーム」

現在3連勝中と波に乗るFC大阪に対し、序盤は互いに様子を見る拮抗したゲームに。

FC大阪はシンプルに相手の背後を突く裏へのロングフィードで攻撃を展開するも、Y.S.C.C.横浜守備陣の集中した対応で決定機は許さなかった。
一方、YSは前節に比べてビルドアップは大きく改善。しかし、相手の中央を締めた戦い方もあってか、アタッキングサードでの崩しまで持ち込むことは出来ず。大きなチャンスは32分に福田 翔生が個の力で作ったシュートのみ。エリア内左から右足を振り抜くも、惜しくも右ポストに直撃した。

後半、YSはビルドアップで両サイドに大きく振る戦い方に修正。相手をスライドさせて揺らすことでスペースを作り、YSの武器でもある左サイドの道本 大飛に1on1が出来る状況を増やした。この修正が当たり、YSが前線に押し込む時間が急増。道本と福田を中心に攻め立てるも、ネットを揺らすまでには至らず。スコアレスドローで試合終了の笛が鳴り響いた。

試合後、星川 敬監督と選手の皆が「勝ち点2を落としたゲーム」だったと口を揃えた。客観的に見れば、連敗を回避したことはシーズンを通した長い目で見れば大きい。また、再び無敗街道のスタートラインに立てたとも言える。しかし、選手も監督も求めるハードルは、より高いところにあった。

輝きを放った冨士田康人

この試合で終始際立った活躍を見せたのが冨士田 康人。2000年生まれの大卒ルーキーは、練習でのアピールが評価され、6月3日の福島戦で先発に抜擢。Jデビューを飾った。

試合を重ねる度に存在感は増し、今節はアンカーとして君臨。最終ラインのビルドアップでは適所で顔を出してボールを受け、相手のファーストラインのプレスを無効化。自身も「特徴」と語る守備でも。攻撃の芽を摘み中央からのチャンスを最低限まで減らしてみせた。

特に目立ったのは後半だ。前半からの修正を図ったチームと共に、冨士田はスペースを駆使して攻撃のタクトを振るい始める。絶妙なターンで相手を剥がしては、状況に応じて的確な選択肢へパスを送って攻撃のスイッチャーとして貢献した。
試合後、冨士田は「練習や試合を繰り返すことで、失敗から学ぶことがある。振り返って修正を続けていくことで良い立ち位置だったり、視野の余裕だったりにつながっている」と好調の要因を語った。

3節の松本戦以降、アンカーはベテランの中里 崇宏に頼り切りだった。代えの効かなった同ポジションに新たな血が加わったことで中里は左サイドに回るなど、手数にさらなるオプションが生まれている。

デビューからまだ4試合。「全然ここでやれてるからいいってわけではないし、別にやれているわけでもない」と本人の目指す理想はまだまだ先。さらなる飛躍に期待がかかる。

福田翔生と道本大飛、萱沼優聖に続くのは?

現在、YSの攻撃をけん引するのは3人。福田と道本は互いに「通じる部分があってやりやすい」と話すように、左サイドでの連携然り、個の力でもゲームを決定づけるプレーが出来る存在として重宝されている。

萱沼 優聖も攻撃の重役を担っている。本職はCFながら、シャドーとして最終ラインと前線の繋ぎ役をそつなくこなす。必要なときにはタメを作ってゲームのリズムを作ることもでき、ユーティリティ性に溢れたプレーヤーだ。

前節の沼津戦では福田が、今節のFC大阪戦では萱沼が出場停止に。結果的には1分1敗と2人の不在が大きく響き、改めて重要性が分かる2試合となった。

数字を残すという決定的な仕事をしているのは、リーグ2位の10ゴールを残す福田と、リーグ4位の3アシストを記録している道本。萱沼も2ゴール2アシストを結果を残す。その他の前線の選手は試合内での貢献度は高いものの、数字を残すという部分での不足は、選手たちとしても理解していることだろう。

今節、2人の他に前線に入ったのは6月に町田から加入した佐藤 大樹と2試合ぶりの先発となった田原 廉登。攻守において積極的な姿勢を見せたが、不発に終わることに。

「廉登に関しては、結構長い期間で試合に関わっている選手。まだまだやれる。佐藤は町田とはスタイルが全然違う中でトライはしている。ポジショニングも良くなってきているところ。福田も時間はかかったし、ポテンシャルはある選手」と、試合後に星川監督は2人に対しての期待を口にした。

今節で言えば2人以外にも、後半から投入されたピーダーセン 世穏やカルロス・アローヨもいる。前者は常日頃口にする「自分も結果を出さないと」という意気込みをプレーでも披露し、後者は終盤に強さを生かした印象的なプレーを見せた。

試合を重ねるごとに、福田と道本、萱沼への注意は特に増している。3人に続くのは誰か。結果を残す”新たなヒーロー”が誕生すれば、YSの強さは次のフェーズに突入することだろう。

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無敗記録が止まった流れを引きずらなかったスコアレスドロー。勝てたゲームだったかもしれないが、星川監督が要求しているレベルはJ3の中でも高いレベルにある。結果の出なかったシーズン初めから、我慢をしながらもブレずに積み重ねを続けてきたことを考えれば、勝てたゲームだったと捉えられること自体が大きな成長だ。

学びながら、トライ&エラーを繰り返しながら、「勝ち点2を落とした」と言える今の選手たちのクオリティとメンタリティに辿り着いている。まだまだ伸び代は十分だ。

取材・文=小津那

 

小津 那 (オヅ ダン)

1999年2月10日生まれ。大学在学中からサッカーライターとして活動し、複数のメディアでの原稿を執筆。
大学卒業後の2021年7月からエルゴラッソ Y.S.C.C.横浜担当記者に就任。
2022年7月からはGOAL Japan編集部を兼務し、Jリーグや日本代表を中心に取材経験を積む。

 

-------次節-------

明治安田生命J3リーグ第16節
7月1日(土)17:00ko
vsテゲバジャーロ宮崎
【会場】ユニリーバスタジアム新富

 

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